小澤秀幸
<原理復興会講話集より>
ここ数年、日本は混迷しています。この難しい状況を突破していくためには、どのようにしたらよいのでしょうか? 本質に帰っていかなければなりません。
日本だけでなく、全世界においても、そのような状況になってきています。この状況を突破するにはリーダーが必要です。アメリカも、アングロサクソンがリードしてきましたが、昨年オバマ大統領が就任することによって、初めて黒人の大統領の誕生ということが起きました。実は、このことを30年前に文鮮明先生がシカゴで予言されていたのです。「白人と黒人の合わさったリーダーが出てくる」と。
歴史上の人物の中で、世界的に最も影響を与えた人物はだれかというアンケートを行ったところ、第1位は、「イエス・キリスト」という結果が出ました。世界の歴史の中には、「聖人」と呼ばれる人が何人かいますが、その人たちは、死んだのちであっても永遠の価値、永生の価値を持っている方で、世界人類に影響を与えている人たちです。
さて、皆さんは、「人生の目的」を考えたことはありますか?そちらのお母さんは、人生の大先輩ですね。人生の目的とは何でしょうか? その後ろに座っていらっしゃる男性は?(よくわかりません)。
そうですね。実は、人生の目的は、人間にはわからないのです。つくられたものはみな、つくった人に目的があってつくられたのです。そして、また、その目的どおりに使われないと(人間の場合は、目的どおりに生きないと)、その価値を表すことができないのです。
人生の目的は、幸福になることです。だれもが幸福になりたいと思うのです。幸福になるには条件があります。
まず人間関係です。人間関係に必要なのは愛情です。愛情とは、人と人をつなぐ力であり、愛情には量と質があります。その質のことを「人間性」と言います。そして心身の健康と環境主管です。この心身の健康と環境主管は方法であり、手段です。頭のいい人が必ずしも良いとは言えません。また、五体満足のほうが良いですが、それがすべてではないのです。
人と人間とは違います。人間は、人と人の関係をつくります。上下、左右、前後の関係が大切です。上(親、上司)との関係、下(子供、孫、部下)との関係、左右(夫または妻)との関係、前(兄、姉、先輩)との関係、後(弟、妹、後輩)との関係。これらの人々との関係が円滑であると、信頼され、好かれ、自分自身も安定します。
そして、「物」とのかかわりも、私たちの人生の中で大切です。具体的には、お金、技術、自然とのかかわりとなりますが、私たちの心の器に応じて使い方が異なってきます。
例えば、ライブドアの社長をしていた堀江貴文さんという方がいますが、株でお金をたくさん儲もうけましたが、使い方や価値がわからず、身を滅ぼしてしまいました。同じように、二世や三世の代が、せっかく一世が苦労して築き上げたものをつぶしてしまうことはよくあります。
自然破壊は、心ない人々が、自然を自分の物のように扱うところから起きます。
家庭の大切さに目を向けなければなりません。家庭の中で愛情がはぐくまれます。
生まれて最初に出会うのが両親です。子供にとって、父親と母親の両方が必要です。子供への影響は、父親が15パーセント、母親が85パーセントと言われ、母親の影響力がとても大きいです。
母親だけでも子供は育てられますが、それは形だけであって、子供のすべてを育てることはできません。父性によって、子供の主体性や、責任感、自立心が育てられるのです。最近は父親の存在感が薄くなり、その結果、父性が育たない子が多く、引きこもりの子が増えています。
母性は、人間関係を育てます。信頼関係、信じる心(信仰心…目に見えないものを信じる心)、許す心(受け入れる心)、思いやる心(無条件に与える心)などです。
しかし、父性の愛、母性の愛だけでも足りません。兄弟姉妹の愛が必要です。これが不足すると、いじめなどの陰湿なことが多くなります。これは愛情不足から来るものです。
昔のお母さんは、自分の子でも、よその子でも一緒に育て、区別なく食べさせ、叱っていました。今のお母さんは、それができません。なぜでしょうか? 愛情がないからです。
そのように家庭の中で愛情を授受して成長して、結婚し、夫、妻に対して、深く愛するようになるのです。
愛情は、与えれば与えるほど大きくなります。もしそうならないとしたら、それは本物の愛情ではないからです。与えれば与えるほど減ってしまうのです。
夫婦の間にすきま風が入り、それが溝となり、堀となり、小川になり、中川になり、大川になり、海になるのです。そうして子供が結婚していなくなったら熟年離婚するケースがどれほど多いでしょうか。
子が親孝行しないのは、親の愛情が子に届いていないからです。子供に愛情を注いできたかを反省しなければなりません。
子女の愛、兄弟姉妹の愛、夫婦の愛、父母の愛、これら四つの愛を完成したら、愛の人格者になります。しかし、どれかが欠けていたら、人間関係、または子供に出てきます。血統がつながっているからです。
四つの愛の中で最も特殊なのが、夫婦の愛です。心も体も一つになって、特定の人のみを愛するのです。
統一教会は結婚を大切にします。合同祝福結婚式をご存じですか。神様を中心とした結婚です。夫婦の間に神様がいらっしゃるのです。神様は、永遠、不変、唯一、絶対の方です。結婚もまた、永遠、不変、唯一、絶対なのです。
私も、妻との出会いは、文先生の紹介でした。それは非常に不思議な、神秘的な出会いでした。
社会の最小単位が家庭です。家庭は三代で成立します。祖父母、父母、子女、あるいは、父母、子女、孫・孫娘です。
現在、日本で一番長い代数の家庭は、親子五代の家庭で、そういう家庭が55家庭あるというデータがありました。早く結婚しなければ、それはできません。祖父母や父母の姿を見ているから、結婚に希望を感じるのです。できちゃった結婚では、五世代は続きません。最近は一世代が多いのです。人に無関心であり、愛情不足だからです。
幸せの原点は「家庭」です。そして、「為に生きる」ことです。
イエス・キリストという方は、真の愛を知らせるために来られた方です。わずか30数年の生涯で、ほとんど記録も残っていませんが、十字架で亡くなる時に、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」とおっしゃいました。
不当な裁判で死刑となったのでした。ローマ総督ピラトもそうしたくなかったのですが、当時のユダヤ教指導者が民衆を扇動し、イエス様を「殺してしまえ!」としてしまったのです。
その後、キリスト教精神は、ボランティア、無償の愛を謳っています。
これから私たちも、文先生の生涯を通じて、真の愛の世界を知って愛の完成者となり、愛の家庭を築いていきましょう。