陸 泰昊
<2010 夏季 牧会者説教集 P.100~104>
訓読:『天聖経』p.1280「罪と蕩減復帰の長子権復帰」
天一国完成のために苦労される皆様に聖霊の恵みがあふれる時間になりますことを祈願する心を持って、天一国成就のための神様の願いを共に考えていきたいと思います。
まず、信仰生活について考えてみましょう。信仰というのは、神様を信じて奉りながら従っていくことを意味します。しかし、今までの信仰は、神様の全知全能の無限の力を信じて、その神様の能力によって人間の欲望を満たしていくために祈願する傾向が強く、それによって、ますます祈福信仰の過ちを犯し、信仰者の使命を果たせなかったのが現実でした。
一方、「統一原理」から見る信仰は、神様が人類の親であることを信じて、その親の願いを成就するための生活を意味します。人類の親であられる神様の願いは何でしょうか? それは、子供である人類が幸せに生活することです。喜んで生きていく人類を見て、共に喜びを感じていきたいのが神様の願いです。神様の願いが人類の喜びにあるとすれば、その喜びの世界をつくるために祈り、活動する信仰者に対して、神様はどれほど喜んで恵みを与えられるでしょうか。兄弟姉妹の悲しみや悩みをなくし、喜びの中で生きていけるように助けてあげようとする信仰者には、神様から大いなる喜ばせる能力が与えられるでしょう!
ここで、信仰生活を通じて成される喜びの理想世界は、兄弟姉妹が互いに喜ばせていこうとする理想的な家庭を通して成されると理解できます。それは、神様が理想家庭を通じて理想世界を完成していこうとされた創造の原理に通じます。
さて、神様が願われた理想家庭は何でしょうか? 『天聖経』1280ページに、長子権が正しく立てられた家庭であるとあります。長子は神様のすべての権限を相続する立場です。長子に相続された神様の権限は、その後、次子に連結されて家庭全体が神様の創造の理想を中心として成長し、完成します。しかし、堕落によって、神側の長子権がサタンに奪われてしまいました。長子を愛せないことが神様の恨になりました。
サタンに奪われた創造理想を取り戻すために、神様は長子権を復帰する摂理をなしてこられました。聖書に出てくるエサウとヤコブの問題は長子権復帰のためです。長子権は神様の理想を成していくために取り戻さなければならない重要なものです。
『原理講論』291ページによると、長子であるカインを復帰するために、神様は善の表示体としてアベルを立てました。善の表示体のアベルを立てた理由は、神様が主管することができる原理的な摂理を成すためでした。神様は原理的な存在なので、非原理的に摂理を行うことはできません。復帰摂理の中心としてアベルを立て、アベルを愛し、アベル圏を教育し、サタンが讒ざん訴そ することができない原理的な摂理をなしてこられました。
創世記4章に、カインの供え物を取ることができなかったのも、それによって、憤りを感じたカインを教育された理由も、サタンの讒訴がない摂理を完成するためでした。神様はアベルの善なる条件がたとえ小さくても、その条件によってアベルを愛し教育しておられます。
復帰摂理の完成のため、神様が愛し、教育する原理的な善の対象であるアベル圏はだれでしょうか? イスラエル民族、キリスト教、そして統一教会の祝福家庭です。アベル圏として立てられた祝福家庭は神様の祝福、愛、関心圏の中心に位置する存在です。神様の創造の理想を成就するための信仰生活をなしている祝福家庭なので、神様は恵みを与え、聖霊で保護せざるを得ないことでしょう!
なぜ、神様はアベル圏を愛し、祝福してくださっているのでしょうか? 『天聖経』1280ページに、アベルの子を救うためではなく、長子権を立てて家の伝統を正すためだと言われています。カイン圏を復帰するためなのです。カイン圏復帰は、拳でなぐって奪い取るものではありません。神様がアベルを愛されたように、カイン圏を愛し、感動させたときに、長子権が復帰されます。サタンも、神様が送ってくださった人がサタンを愛したという条件を立てなければ長子権を返す道がないと言っているのです。だからイエス様も、「怨讐を愛しなさい」と言われていますし、真の父母様も、「ために生きなさい」と強調されるのです。
愛に感動した長子が、弟の次子に侍り、「祝福はすべておまえから受ける」と言うほどにならなければなりません。そうして長子が次子の立場になり、次子が長子の立場に上がらなければなりません。長子からその権利を譲ってもらわなければなりません。長子権復帰をするためには必ず、サタンが迫害し命を奪おうとする一線に出て闘って、愛で屈服させなければなりません。これが、宗教が迫害を受けてきた歴史の秘密です。
『天聖経』によると、長子が自然に心に感動を覚え、涙で悔い改めて、「命を捧げてあなたのために祭物となります」と宣誓してもらうのです。カイン世界の祝福圏を取り戻す道は、私たちの伝統を知らせることだと言われています。ここで、私たちが知らせる伝統は何でしょうか? アダムが命を捨てて取って食べた不倫の悪い伝統でしょうか?
そうではありません。命を捨てでも守り切ってこられた真の父母様の絶対信仰が、われわれが見せるべき伝統です。サタンが殺そうとした興南の生活の中で、メシヤとして怨讐を愛され、絶対信仰の基準を守ってサタンを自然屈伏させた生活が、われわれが守り、知らせるべき、愛の感動を起こす伝統です。
日本の祝福家庭は絶対信仰の伝統をよく守ってきました。世界を養育し、復帰しなければならない母の国として、さまざまな死の峠を何度も忍んで、限界を乗り切った勝利的な信仰の伝統の基準を持っている国です。サタンが感動せざるを得ない絶対信仰の基準です。
日本の祝福家庭によって日本が生かされ、日本によって世界が生かされるのです。神様の天一国創建のために最も重要な国になりました。このような中心的な国としての基準は、神様の教育と導きによって成されたことを忘れてはいけません。日本の中心である祝福家庭の信仰は、神様によって育てられたのです。サタンのカイン圏を復帰するために、愛の感動の武器として与えられたものです。
神様から与えられた絶対信仰の武器は、長子権を復帰するためによく使用しなければいけません。「反対の中でも、迫害の中でも、人類の喜びの世界をつくるために頑張ってくれた。われわれは自分のために生きるのに、あなたはわれわれのために、あなたのすべてを尽くしてくれた。あなたは聖人であり、神の子である」と、カイン圏が長子権を持ってきて譲ってくれる。それが長子権復帰です。
長子権を復帰して長子圏が正しく立てられるとき、神様の理想的な家庭の伝統が立てられ、理想世界がつくられるのです。そのことを胸に抱いて、神様を知らないカイン圏に、神様の愛を持って、絶対信仰の勝利の感動を伝え、天一国を完成するアベルの使命を成就する祝福家庭になりましょう!